母は入退院を繰り返し、
物事もあまり理解できなくなってきてしまっていたので、
その死を聞いてもあまり驚きませんでした。
83歳だったので、「まだ若かったのに」とは
ずいぶん言われましたが、本人はいつも
「好きなことができて、私みたいに幸せな人はいないよー」と
言ってたので悔いはなかったと思います。
でも、やはり葬式のときは辛かったです。
1月の終わり、前日に雪が降って
少し積もった中での葬儀でしたが、
たくさんの方に来ていただけたのは、
とても嬉しかったですね。
「こんなに大勢の人がお別れにきてくれたよ、母さん」と
心の中で語りかけました。
棺の中の顔を見て「ヒサちゃん、お別れだね」と言って
涙ぐむ御婦人が多かったのですが、
両脇に添えられたみちびき地蔵とお供地蔵を見て、
「良かったねー。お地蔵さんが一緒に極楽へ行ってくれるよ」と
少し安心されたようでした。
父は既に30年前に他界しましたが、
その時にはまだ木地地蔵はありませんでした。
もしあの頃に木地地蔵があったとしたら
母も父の棺に入れ、
小さなおくり地蔵を仏壇に置いて、
毎日手を合わせていたにちがいありません。
うちは本家ではないので位牌も仏壇も無いのですが、
空き箱で小さなお堂を作っておくり地蔵を入れ、
居間に置いています。
「今日も元気ですごせるよう、見守っていてください」と
毎日手を合わせることができるのは嬉しいですね。
(50代/男性)
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