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こけしの産地を見ると、鳴子とか作並、遠刈田、花巻など東北の温泉地がほとんどです。 地蔵村のある山形・庄内にも湯野浜という温泉地があり、そこでもこけしを作っていますが、規模が小さく、量産できないので、工房の沢山ある鳴子に生産をお願いしています。
鳴子は昔から東北の名湯として知られてきました。今は市町村合併で「宮城県大崎市鳴子 温泉」となりましたが、以前は「宮城県鳴子町」で、町木はこけしの材料である水木(みずき)でした。そのくらい鳴子とこけしのつながりは深いものがあり、温泉地と土産物としてのこけしは切っても切れないものだったのです。
しかし時代は変わります。住宅事情ということでは、洋風化が進みリビングにこけしの置物は似合わないということであったり、アパート、マンションが狭いために置いておく場所がないという方が大多数でしょう。地方に旅行へ行っての土産品としての選択肢では、軽く、嵩張らず、金額が安いという3K商品が増えました。頂戴する方の人気としては饅頭や煎餅などの消え物のほうが喜ばれ、いつまでも残る「○○観光地名産品的飾り物」は減りつつあります。また、世代層としては、若者・子供向けのキャラクターや動物などのぬいぐるみは別として、飾り物でも写真立てのような実用品や、身に着けるアクセサリーや携帯ストラップなどでも小さく可愛いくセンスの良いものが好かれるようになっています。こけしは「可愛い」というより「可笑しい」部類に入ってしまうのかな?

以上のような理由により、温泉地のこけしは「今ある(売っている)土産物として」よりも「過去に販売された骨董的蒐集品(コレクション)」の方が需要と商品としての価値が高くなりました。それは「観光客という幅広い購買層」が減り「ネットや展示会でのマニアが中心」になるという、新しい作品の需要低下につながります。

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「こけし」という伝統文化を
後世にずっとずっと残したい


需要の低下は、伝統工芸の文化と技術が衰退していくことに他なりません。このままでは数百年続いてきた東北地方の伝統文化と技術の継承が近いうちに途絶えてしまうことになってしまう…。現に、後継者がいなくて、今の工人で終わりという工房がいくつもあります。後継者が現れない理由は、主として経済的なものであり、技術の習得に年月がかかるということがあります。安定した収入を得られるための修行であれば「やってみよう」という人も多いのでしょうが、それが望めないのであれば家族や友人からの賛成も得難いでしょう。工人の技術を使って新しい作品を、と考えたのが「木地地蔵」です。消耗品であるため、需要がなくなることはありません。これからの新しい木地製品として成長が望めるのではないか? と考えています。

さて、それでは地蔵村のある庄内地方では何ができるのかなぁ? と考えたところ、木地地蔵の発送元という案が出ました。その発送元も福祉作業所にお願いできれば、金銭をお支払いできますので自立支援にも役立ちます。初めに知的障碍者施設に相談したところ「商品を傷付けたり落として破損することが考えられるのでお受けできない」という残念な返事を頂きました。そこで現在は車イスなどで生活している身体障碍者施設に相談しています。木地地蔵の保管場所や発送可能数などいくつかの問題点はありますが、それらを乗り越え、新しい仕事仲間として関わっていけたら嬉しいです。

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 日本の製造業は諸外国にその仕事を奪われつつあります。企業としては製造原価を低く抑えるためにしているのでしょうが、この国に住む人間にとっては功罪半分半分というところです。地蔵村では製造も発送も全て国内だけでまかない、心とアイデアで地方から日本を豊かにしてみたいなぁ、といつも思っています。

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