3月11日の震災では内陸の鳴子温泉も震度6弱という揺れを受けました。周辺の旅館では湯船にヒビが入ってしまったところもあったということでしたが、すぐに修理し、避難者の受け入れや、復興作業員の宿舎になったりしています。しかし、一般のお客様が温泉を楽しむために戻ってくるようになるにはまだしばらく時間がかかることでしょう。

こけし販売店でも大きな揺れによって展示品が全て落ちてしまい、傷が付いて商品にならなくなってしまったものが多数あったとか。ただ、ガラスや焼きもののような割れ物でなかったので怪我人が出なかったことが不幸中の幸いだったと仰っていました。

鳴子温泉木地玩具協同組合理事長の菅原和平さんの工房では『誕生こけし』というアイテムを作っています。赤ちゃんが産まれたときの身長、体重と同じ大きさのこけしです。

「産まれてきたときはこんなに小さかったんだね」と、誕生したときの喜びをいつまでも忘れずにいられますように…という願いをこめて作られています。

大震災から1か月ほど過ぎたある日、以前のご注文をいただいたお客さまから

「津波で、3人の子供たちの誕生こけしが流されてしまった。奇蹟的に末の子供のものだけ浮かんできて手元に戻ってきたが、傷ついて汚れてしまっています。これを綺麗にしてもらえますか? また、上の2人の子どもの分もまた新しく作ってもらえるでしょうか?」という電話が入りました。

手元に戻った誕生こけしを工房に送ってもらい、汚れをとって綺麗に復元し、過去の製作帳を見て新しく作り直した2体を、送るのではなく直接お届けしようと連絡を取ったところ、実は津波で子供たち3人と、さらに御両親までもが亡くなっていたことが判りました。今はご夫婦2人だけが避難先で生活しているということでした。

菅原さんは

「ここには誕生こけしだけではなく、『木地地蔵』というアイテムもあります。よろしければ差し上げますので、お手元に置いて、御両親、3人のお子様のご冥福をお祈りください」と伝えたところ

「地震と津波で家族の楽しかった生活だけでなく、家も写真も思い出の品々も全て失った今、手元には5人の新しい位牌しかありません。ですので位牌だけに手を合わせています。ぜひその『木地地蔵』を譲ってほしい」と言われて、誕生こけしと一緒にお持ちしたところ

「これで皆の冥福を祈ることができます」と、涙を流して感謝されたとのことでした。

このような方が、どのくらいいらっしゃるのか…。地蔵村ではひとつでも多くの木地地蔵を、希望される方にお届けしたいと考えています。

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